日々のいとなみをちょっと豊かにするヒントを伺うインタビュー。
今回はフラワーデザイナーでアフリカローズ代表取締役の田中さん。
自分の空間にお花があると、パッと明るくなるような感じがしていいですよね。
そんなお花のこと、人生のことを田中さんにお伺いしました。
田中さんがフラワーデザイナーになったきっかけって何だったんですか?
僕は、大学卒業してすぐに、子供がいる方と結婚したんですよね。
で、当時、いくつか就職の選択肢はあったんだけど学生卒業して、すぐに子供を持つ一家の大黒柱にならなきゃいけなくなって、結構プレッシャーがすごく、とにかく 稼がなきゃいけないと思ったんですよね。
そこで、稼ぎがよくて自分の知らない世界をみる経験にもなるんじゃないか、と考えて金融業界に入りました。
で、もう本当に、3年ぐらいはとにかく頑張って働きました。
仕事を始めて、家族を支えている感覚みたいなのはあったんですけれども、一方で、家にいる時間が少ない。
「休みの日なんだから子供と遊んで欲しい」と言う奥さんと、頑張って働いて役割を果たしている自分とで、結構夫婦関係もうまくいかなくなり、26の時に離婚をするんですよね。
で、その時に、今までは家族のために頑張ってきた、それはそれで良かったのですが、いざ離婚をしてみるとこれから先なんのために頑張ろう。そんなことを考えるようになりました。
誰かのために頑張る理由がなくなったということもあり、どこかのタイミングで辞めたいなっていう風に思ってたんですよね。
それからあることがきっかけで2年、3年とフラワーアートスクールに通うことになりました。
その後、フランスでの研修から帰ってきたタイミングで、独立しよう!と思い、何も仕事もないままま独立をしました。
しかし、何も仕事がないまま独立したので、とにかく何でもやりますと言って仕事をもらい、夜中まで調べ物をしたり。。。
自分が好きで始めたことでしたが、どこか疲弊してる自分がいて、これは、俺が金融業界を辞めてまでやりたかったことではなくて、生活のためにやってる感がすごくて、 もっと、なんか他の方法があるんじゃないかなって思いながら過ごしていました。そんな時、アフリカローズの創業者と出会って、話を聞くとコンセプトとか考えてることが自分にとってもいいし、社会にとってもいい。
全てが縁になるような仕組みに共感しました。
当時は創業者1人+お手伝いの方々で、まだまだ大変な部分もあるだろうしもっとこの世界のことを知りたいと思い「手伝います」と申し出たのがAFRIKA ROSEとの出会いです。
(※当時はアフリカの花屋でした。)
元々違うお仕事から花を扱うことをお仕事にしてみていかがですか?
フラワーアートは、僕にとって時間を忘れて没頭できるもので、陶芸のような作品を作っている感覚っていうのがあります。
アートというなかなか言葉にしにくい感覚を商品に落とし込んでいこうと思い、アートディレクターの古谷萌さんをはじめとするたくさんの方々に関わっていただき、AFRIKA ROSEのラッピングやボックスのデザインに落とし込んでいきました。
実際、僕がフラワーデザイナーとして作るものと、生活の中にお花を取り込むっていうのって、ちょっと違う感じだと思っています。
家でお花を飾る時もありますが、花束ではなく1輪で飾ることが多いです。
その理由は2つあります。
1つ目は、管理が簡単。
日々忙しく過ごしている中でも1輪であれば簡単に手入れができます。
2つ目は、精神面での話になるのですが、
花を愛でるっていうことは、自分を大切にすると言うことだと思うのです。
まるで「鏡」のような関係だと思うんですよね。
「鏡」ですか?
そう。
日々、いろんなことが起こって、余裕がない時、余裕がある時、それぞれあるじゃないですか。
花を飾ってる時に、水を変えて、茎をちゃんと切るっていうことで、気持ちがリセットされるような感覚がするんですよ。
でも、疲れてる時、全然水を換えないっていう時もあって、そういう時は「あ、これ、ちょっと良くないな」とか、そんなことに気づかせてくれる
花も生き物だし、自分たちも生きてる。
そんなお花をお手入れしてあげることは、自分を大事にするっていうことを、花に置き換えて取り入れてるっていう感覚があります。
つまり精神的な面でお花を生活に取り入れるということはすごくいいなって思いますよね。
お花をお手入れすることで、自分の状態を知ったり、自分をお手入れするようにお花をお手入れするから、「鏡」なんですね。
僕も 忙しくなってくるとお花の水換えなくなったりして、ダメにしていました。
でもその時に自分がどう気付くのかとかっていうのは結構大事かなっていう感じはしますね。
ありがとうございます。じゃあ普段はどのような花器を使われたり、どんなお花を活けたりしていますか?
花はね、もちろん季節のものもあるし、葉ものもあるし、色で決めることが多いです。また、この香りがいいからって飾る時もあるし、ほんと色々です。
でも花瓶に関しては、正直なんでもいいと思っていて、
今日持ってきてもらったとっくりも面白いと思うし、ワインの空き瓶でもいいし、缶詰の缶でもいいし、ペットボトルだったり、、、
花の重さとかによって、 口の長さを考えるのでそのときちょうどいい花器が普通に生活で使ってるものだとしたら、「あ、これいいじゃん」と思って使っちゃう感じかな。
花の重さとかによって、 口の長さを考えるのでそのときちょうどいい花器が普通に生活で使ってるものだとしたら、「あ、これいいじゃん」と思って使っちゃう感じかな。
「とっくりとピンクの薔薇の組み合わせがうまくできました。」
へぇ。面白いですね。お家で飾るお花はアートとは別とおっしゃっていたけど、お花に合わせて花器以外のものも組み合わせるのはアートっぽいですね。
じゃあ花器はそんなに持たないですか?
いえ、たくさんあります。笑
そうなんですね。笑 どんなものを選ばれますか?
本当にいっぱいありすぎて、ちょっとわかんないんだけど。笑
でも例えば、 夏の時期は透明なガラスの方が涼しそうでいいな、とかっていうのはありますね。
あとは、さっきも言いましたが、一輪で飾ることがほとんどです。
束では飾ることはないんですか?
束を飾りたいと思わなくて、例えばブーケみたいにちゃんと組んであるものは、それぞれ花の品種が違ってるので、悪くなっていく速度が違う。
だから、美しい花束でいられるのが短いです。
だから1輪を、いくつか飾るのが、自分が簡単に手入れできるぐらいな感じで扱いやすいっていう感じですね。
なるほど。
お手入れしやすい水回りにガラスの花器やコップを使って、置いておくのが水の透明感も相待って僕は好きです。
田中さんも1輪ざし派なんですね。結構意外でした。フラワーデザインをされてるんで、もっとお花の組み合わせや花器のこだわりが強いのかと思っていました。
あー確かにね。でも、一輪ざしを3つぐらい組み合わせして楽しんでいるので、そういう意味では組み合わせはやっています。
ちょっとやってみますね。
こんなふうに、3つぐらい組み合わせてお花を飾ります。
高さをそれぞれ変えて立体的に組むようにしています。
今回はいとなみの道具店の古道具を組み合わせていますが、ガラスや磁器等素材がちがうものを組み合わせるのも楽しいです。
こういった形で、一輪挿しだけど組み合わせて楽しむと、長くお家で楽しめます。
いいですね~。それぞれは一輪挿しだけど、組み合わせると花束のように楽しめるし、お花屋さんで選ぶのがより楽しくなりそうです!
今日はお話し聞かせていただきありがとうございます!